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千のブログ

    気まぐれな写真と気ままな想いを 日々の徒然に書きたいと思います

母の見舞い 

娘が珍しく休みが取れたので、おばあちゃんの見舞いに行きたいと言い出した。
娘には「おばあちゃん」と呼べる人は私の母しかいない。
夫の母は、夫が3歳の時に他界してるので、夫でも顔さえ覚えていないから。

先日叔父が亡くなったとき、帰省して母にも会ってきた。
まだ2か月しか経っていないが、母はとにかく高齢だ。
93歳ではいつ何があってもおかしくない。

娘が祖母に会いたいと言い出した時、ふと父のことを思い出した。
娘は祖父である父にも可愛がってもらっている。
娘は父の7番目の孫だが、6番目の孫である私の息子が生まれて8年もあいてできた孫である。
久しぶりの孫で父も嬉しかったのでしょう。

その父に会いに行ったのが12月の25日。
その少し前に実家が引越しをしてしまったので、娘は家を知らない。
暮れの忙しいときに、兄の家族に迎えに来てもらうのも気が引けたので、
私がついていった。

その直後、29日に、父は亡くなった。
娘のおかげで私は父の死ぬ少し前に会うことができた。

娘と帰省することを、義姉に伝えると、「おばあちゃんは今熱を出して、ご飯も食べなくなってるで」と言う。
嫌な予感が走った。
夫も娘の運転では危ないということで、一緒に行くことにしていたので、
気持ちも重く3人で出かけた。
私は休日には湿疹のせいでノーメイクにしていたので、マスクと帽子で顔を隠してかなり怪しいスタイルで出かけた。

いつものように、姉を誘って病院に行くと、母は車いすに座って食堂から出てきた。
大丈夫ですか?と尋ねると、熱も下がっていたし、ご飯も食べることができているそうだ。
ほっとした。

いつものように、病院の5階のガーデンに連れ出した。
今回はいつもは認識できる姉もわからなかった。
動けないから、手足は冷たい。血が通っていない。
いつものように摩り始めると、娘も手をさすり始めた。
で、私は足をさすった。
もう肉らしきものはほとんどなくて骨と皮しかない。

母は耳が聞こえないから音のない世界にいる。
色々な補聴器を試したが、どれも効果がなかった。

しばらくすると、「ぬくもった」母がボソッと言った。
娘がさすっていた手が暖かくなっている。
娘の長い指が大事そうに母の手をくるんでいる。
30年前は、反対だった。母が娘の小さい丸い手を包んでいた。

「よかったねえ、おばあちゃん」
姉も言葉を添える。母には聞こえないけど、なんとなくわかっているみたいだ。

紙にみんなの名前を書いて、一人ずつ手で示す。
母は名前と顔を見て思い出そうとしている。
姉には笑顔を見せた。わかったらしい。
しばらくすると、娘の名前を呼んだ。じっと娘を見ているけど、
その呼び名は大きくなった娘とはなかなか結び付かないみたいだ。
母の中ではその名前は幼稚園の時の娘しか思い出せないようだ。
夫には「よう、きたねえ」と、言った。なんとなく思い出したらしい。
私の顔をじっと見ている。
そう、娘だよ、私の目がそう言いながら母を見る。
よく知ってる目だけど、思い出せない。よく知ってるけど……。
そう、よく知ってる人だよね。
母の記憶の中に私の目は残っていた。
もうそれだけで充分だ。

もう少し頑張ってね。
そう心の中で言って、病院を後にした。


先日の雨上がりに行ったバラ園

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2014/05/29 Thu. 23:13 | trackback: 0 | comment: 4edit